「思い出の相談窓口」を始めた理由
2026/08/04
フィルムからデジタルへ、写真や映像にとって激動の時代
数年前、あるお客様がご来店されたときのお話です。
「これって、なんとかならないでしょうか?」
お持ち下さったのは、30枚近くのガラス乾板…
手札サイズで、重ねて箱に入ったまま眠っていたそうです。
ガラス乾板は旧式の感光材料(フィルム)で、私自身は扱った経験はないのですが、弊社にも相当数(八切サイズの大きなもの)が残っています。
お客様は最初に、近隣の写真店やカメラ店へ相談されたそうです。
しかし、古い形式の原板であることや、取り扱い方法が分からないことから、対応は難しいと言われたとのことでした。
古い写真や映像の記録媒体には、今では一般的に使われなくなったものが数多くあります。
そのため、貴重な記録が残されていても、見る方法が分からないまま、再びしまい込まれてしまうことがあります。
お客様のお話を伺いながら、こうした写真や記録を未来へつなぐことも、写真に携わる者の大切な役割ではないかと感じました。
写真屋としての使命、それは、歴史を映像で紡ぐこと
私はこのご依頼をお引き受けしました。
ガラスとはいえ、写真が記録された原板であることはフィルムと同じです。
取り扱いさえ間違わなければ画像は必ず再生できると思いました。
ガラス乾板の厚みによる画像のぼけを避けるため、通常とは反対の面からスキャニングを行い、その後パソコン上で画像を反転しました。膜面の傷や欠損部分についても、一点ずつ修整を施しました。
すると...生き生きとした美しい女性や、今でも通用するくらいおしゃれに着飾った男性の写真が
本当に鮮やかに蘇ったのです。
お客様のお祖母様がお若い頃の、ご婚約からご結婚前後に撮影されたお写真であることが解りました。
「○○小町と呼ばれてたんだと、話には聞いてましたが、確かにかわいいですね~」と、お客様も
それまで見たことのなかった祖母様の若い時のお写真に、随分と驚かれていました。
一つ、写真屋としての使命を果たした充実感をいただきました。
思い出は人生を豊かにする
デジタル写真時代になって、かつてないほど多くの写真が世の中に出回っています。
多くの人が、カメラとビデオカメラ、電話の機能を備えたスマートフォンを常に持ち歩く時代、
でもそれらの映像が持つ価値は、昔と何ら変わらないんだと思います。
「思い出は人生を豊かにする」…そのことを多くの方々が意識することなくご存じなんだと…
私どもの知識や経験で、多くのお客様の人生を豊かにする一助となるよう、
これからも努力と研鑽を積んでまいりたいと考えております。
京都・中尾写真場
【思い出の相談窓口】 中尾好宏
